鉄道の新たな価値を創る実証実験 ─ 伊豆高原駅のホールとリゾート21で奏でるジャズ ─

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当社では、鉄道車両や駅、そして沿線空間が持つ価値を再発見し、多様な用途で活用することで、地域の賑わい創出につなげる取り組みを進めています。

このたび、2026年6月20日(土)に、伊豆急行株式会社が運営する伊豆高原駅やまもプラザホールと停車中の列車を活用したジャズイベントの実証実験「Jazz Terminal」と「Station Lounge Jazz Club」を開催しました。

本イベントは、単なる音楽ライブではなく、鉄道駅や車両を「地域の交流拠点」として活用し、新たな賑わいや来訪のきっかけを生み出すことを目的に実施したものです。この記事では、イベント実施の背景から当日の様子、そして今回の取り組みを通じて見えてきた「鉄道の新たな可能性」についてご紹介します。

イベント実施の背景

本プロジェクトは、東急グループ内で開催された地域創生をテーマとしたワークショップにて、伊豆急行株式会社のご担当者様と出会ったことをきっかけにスタートしました。

「鉄道そのものを、旅の目的地にできないか」
そんな問いから企画検討を重ね、駅空間や車両を活用したイベント、例えばBar列車、映画上映、ワークショップなど、さまざまなコンテンツの可能性を議論してきました。

その中で伊豆高原エリアの特性を改めて分析した結果、落ち着いたリゾート地ならではのゆったりとした空気感が漂っており、上質な時間を求める旅行者が多く訪れるという特徴が見えてきました。そこで私たちが着目したのが、伊豆高原が持つリゾートの魅力と、ジャズが持つ上質で心地よい空間演出との親和性です。

今回は伊豆急行株式会社のご協力のもと、伊豆高原駅のホールとリゾート21の車内を活用したジャズイベントを企画しました。昼は駅ホールで気軽に音楽に触れられる空間を、夜は列車内で特別感のある体験をご提供することで、駅を起点とした新たな交流と賑わいの創出を目指しました。

実施した内容

今回の舞台となった伊豆高原駅は、伊豆観光の玄関口として日々多くのお客さまが行き交う駅です。本実証実験では、駅施設と鉄道車両それぞれの特性を活かし、趣の異なる2つのジャズイベントを実施しました。

ひとつは、駅構内のやまもプラザホールを会場に、気軽に音楽を楽しめる昼のイベント「Jazz Terminal」。もうひとつは、3番線に停車したリゾート21の車内を一夜限りのジャズラウンジに見立てた「Station Lounge Jazz Club」です。

それぞれ異なる体験をご提供することで、駅や車両が持つ空間価値や滞在価値を検証するとともに、「旅の途中」ではなく「旅の目的」となる鉄道施設の可能性を探りました。

Jazz Terminal

15:30~16:30にかけて、伊豆高原駅やまもプラザホールにて「Jazz Terminal」を開催しました。ドリンクや軽食を味わいながら、気軽に生演奏を楽しんでいただける昼下がりのジャズイベントです。

当日は24名の参加者に加え、駅のパブリックスペースという特性もあり、通りがかった多くのお客さまも足をとめてご観覧くださいました。伊豆高原の落ち着いた雰囲気と音楽が見事に調和し、駅を訪れた方々がゆったりとした時間を過ごせる交流の場となりました。

また、伊豆急行の駅長にもゲストとしてご参加いただき、オアシスの名曲「Don't Look Back In Anger」を演奏していただくという嬉しいサプライズも。地域鉄道の最前線で働く駅長と演奏者、そしてお客さまが音楽を通じて一体となり、地域とのつながりを感じられる温かいひとときとなりました。

Station Lounge Jazz Club

18:30~19:30には、伊豆高原駅3番線に停車したリゾート21の車内にて「Station Lounge Jazz Club」を開催しました。

停車中の車両を一夜限りの特別なジャズラウンジに見立て、30名のお客さまにオリジナル駅弁やドリンクを味わいながらジャズの生演奏をお楽しみいただきました。普段は「移動空間」である列車内が本格的なライブ会場へと生まれ変わり、鉄道ならではの非日常的な空間を感じられる場となりました。

演奏中にはお客さまからのリクエストに応える場面もあり、出演者と参加者が一体となって盛り上がる様子が見られました。参加された方々からは「非日常感を味わえた」「列車内でのライブが新鮮だった」といったお声をいただき、鉄道空間を活用した新たな体験コンテンツの可能性を強く感じる機会となりました。

今回の取り組みを通じ

今回の実証実験を通じて、音楽コンテンツと鉄道空間の親和性の高さや、鉄道駅・車両の新たな活用方法について、確かな手応えを得ることができました。また、地域住民の方々と観光客が自然に交流できる場が生まれたことで、鉄道を起点とした地域活性化の可能性も実感しています。

特に、単に音楽を聴くだけの場ではなく、駅に滞在する時間そのものが価値となり、人々が自然に集い交流する空間を創出できたことは大きな成果です。鉄道事業者が保有する駅や車両といった資産に新たなコンテンツを掛け合わせることで、これまでにない魅力や体験を生み出せることが実証されました。

駅や鉄道車両は、単なる交通インフラにとどまらず、人々が集い、交流し、新たな体験を生み出す地域資源でもあるのです。

なお、本プロジェクトには産業能率大学の学生の皆さんにも運営スタッフとしてご参加いただきました。鉄道事業者、地域、企業、そして学生が連携することで、新たな気づきが生まれ、多様な主体が地域活性化に関わっていく広がりを実感するとともに、今後の展望に期待を感じる結果となりました。

駅や車両を活用した価値創出への挑戦

今回の取り組みは、駅や車両が持つ新たな可能性を検証する実証実験でした。

鉄道を舞台としたイベントは、魅力的なアイデアだけで実現できるものではありません。駅や鉄道車両ならではの安全性や運営体制、旅客導線の確保、設備条件のクリア、さらには運行への影響など、多角的な視点を踏まえた緻密な企画設計が不可欠です。

当社は、長年にわたり鉄道設備や車両に携わってきた専門的な知見と、地域活性化につながる企画力を掛け合わせることで、鉄道事業者や地域の皆さまとともに新たな価値創出に取り組んでいます。

今後も「鉄道そのものを目的地にできないか」という大きなテーマのもと、様々な体験のご提供を通じて、「鉄道に乗る目的づくり」と持続的な「地域の賑わい創出」に挑戦してまいります。

今日の安心を、明日へ、未来へ。

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